2024/04/28 01:52



Doit Science(ドイサイエンス)のライブを初めて見た時、自分の脳に何か異変が生じたのをはっきりと感じた。「調和の取れた不調和」とでも言い表せばよいのか、自分の中になかった全く新しい感覚。いまから17年前、熊本市街地のとあるライブハウスで感じた「何か」。それに突き動かされて、数年後私は音楽レーベルHoney Recordsを立ち上げることになった。


Honey Recordsとして初めてリリースした曲はDoit Science「SPY vs SPY」のREMIXで、バンドリーダーの清田氏から「レコ発の会場で配る用のREMIX」を依頼されて作ったものだった。これを7inch vinylでリリースしたところ、世界的DJであるMITSU THE BEATS氏がフェイバリットと各所で公言し、世界中のフロアでプレイ。ローカルのオルタナティブバンドと世界的DJという最も対極にありそうなワードが並列に並んだ時、界隈ではどよめきが起こり、Honey Recordsという架空のレーベルが、実体を持ったものに変化していった。


2003年に熊本で結成されたDoit Scienceは、イベント”Art Blakey”を継続的に主催し、ライブハウス/クラブNAVAROを根城に、熊本のオルタナティブシーンを現在まで牽引し続けている。2007年に1stアルバム「Technology」を自主リリース、2012年に2ndアルバム「Information」を& recordsからリリース。クセになる脱力的かつ反復的グルーヴが数多の中毒者を生み出し、またオルタナティブを象徴するDIYな活動が人々を惹きつけ、その名は全国に轟いていった。バンドマンの間で「九州行くならDoit Science」と囁かれるなど、ファンのみならずミュージシャンからも圧倒的な支持を受け、現在も地元熊本で地に足の着いた、熱く地道な活動を続けている。


そんな彼らのこれまでの楽曲をHoney Recordsがコンパイルし、今回LPとしてリリースすることとなりました。マスタリングは全幅の信頼を寄せているAru-2。そしてアートワークはサイケ且つポップ&エロスな作風が最高な画家 Masashi Ozawa氏。オルタナとヒップポップを繋ぐ、レーベルの集大成とも言える作品が完成しました。ぜひ多くの方の手元に届くことを願っています。


Yasu-Pacino (Honey Records)